この「平田の家」ではクライアントのご要望がはっきりしていて、車のアルファ・ロメオが大好きなので、車を眺めながら生活する、車と一緒に住むというのがご要望でした。それから北向きだけれど、明るい家というのも柱でした。
私も車が好きなので、クライアントの車が好きという気持ちがとてもよくわかるし、自分だったらこうしたいな、というのが当初からありました。私の設計はいろんなシーンを作りたいということがあって、視線の「抜け」ですとか、その中の各スペースの関係性といったものを大事にしてスタディします。どの場所にいても常に車、ガレージの空間を意識できるということと、私がこれまで作ってきた建築の質、考えてきたものがぴったり合っていて、自分の中の建築のテーマとご要望というのが合致した事例だと思います。
ぱっと見るととても閉鎖的な住宅に見えるのですけれども、実際は視線の「抜け」があちこちにあります。それからガレージとリビングの間にガラスのパーテーションがあるのですけれども、それは店舗用の強化ガラスだけで仕切れる。今くらいの季節だと寒いので仕切って、中間期からは完全にオープンにする。その可変性もできるだけ思い切ってやりたいというこちらの考えと、クライアントの思い切りのよさがぴったり合った。やはり車に対しての思いが中途半端じゃないということが、やっていてとても気持ちよかったところですね。 |